Beck『Morning Phase』

ベックが6年ぶりとなるアルバム、『Morning Phase』を発売しました。

途中シングル・リリースはありましたが、前作『Modern Guilt』のレコーディング時期に脊髄を痛めたことで、今作までの長いブランクが空いたようです。

今作では、カントリーの聖地ナッシュビルでレコーディングが行われていたり、『Sea Change』録音時のメンバーが参加していたりと、彼のアコースティック・サイドがプッシュされた作品となっています。

シングル・カットとなった「Blue Moon」「Waking Light」や、発売直前に公開された「Wave」あたりを聴くとわかりますが、カントリーというよりはスピリチュアルな楽曲が中心になっており、全体的にユッタリとした雰囲気に包まれています。

ヒップ・ホップやオルタナティブ系を期待していた人はガッカリするかもしれませんが、聴いてみると完成度が高いので、別の良さを知ることができる、そんな一枚になっているのではないでしょうか。

ちなみに本人は『Sea Change』の続編扱いされるのは好んでいないようですが、まぁジャケットからして近いものがありますしねぇ。

第56回グラミー賞発表

米ロサンゼルスで第56回グラミー賞の授賞式が行われました。

主要部門では、ダフト・パンクが最優秀レコード、最優秀アルバムを含めた5部門で最多獲得。

最優秀楽曲は計2部門を獲得したロード、最優秀新人賞は計4部門獲得のマックルモア&ライアン・ルイスがそれぞれ受賞しています。

主要部門以外では、最優秀メタル・パフォーマンスにブラック・サバス「God Is Dead?」、最優秀ロック・アルバムにレッド・ツェッペリンCelebration Day(祭典の日(奇跡のライヴ))』、最優秀ロック・ソングにニルヴァーナのメンバーとポール・マッカートニーが共作した「Cut Me Some Slack」、またポール・マッカートニーは『Live Kisses(ライヴ・キス 2012)』で最優秀ミュージック・フィルムも獲得しており、ベテラン勢の活躍も目立っていました。

それとグラミーといえばライヴ・パフォーマンスも見どころで、一番の注目だったのはポール・マッカートニーとリンゴ・スターの共演。

リンゴがソロで「Photograph(思い出のフォトグラフ)」を披露した後、ポールの新曲「Queenie Eye」のバックでリンゴがドラムを叩くという、こちらはやや中途半端なコラボで終わりました。

他にも、ダフト・パンクのステージにはスティーヴィー・ワンダーナイル・ロジャースファレル・ウィリアムスも加わって「Get Lucky」から「Le Freak」「Another Star」のメドレー。

マックルモアとメアリー・ランバート「Same Love」の途中には結婚式イベントが開かれ、それに続いてマドンナが「Open Your Heart」を披露。

ロビン・シックシカゴは「Does Anybody Really Know What Time It Is?(いったい現実を把握している者はいるだろか?)」「Beginnings」「Saturday In The Park」「Blurred Lines」をメドレーで演奏しています。

今年のグラミーは、やはりダフト・パンクの強さが目立った印象ですかね。

The Beatles『The Beatles Bootleg Recordings 1963』

ザ・ビートルズが1963年に発表した音源のアウトテイク集、『The Beatles Bootleg Recordings 1963』がiTunes Storeで発売になりました。

2013年1月1日に、EU圏でビートルズのデビュー・シングル「Love Me Do/P.S. I Love You」がパブリック・ドメインになったことが話題になりましたが、今回のリリースもそれに関連したもの。

EUでは今年、著作隣接権を70年に延長したので、とりあえず『Please Please Me』や『With The Beatles』の音源がパブリック・ドメイン化するのは20年後まで引き伸ばされました。

ただ、それとは別に録音された音源を50年以内に発売しない場合はパブリック・ドメイン化してしまうので、とりあえず手持ちの未発売音源を急いでリリースしておこうという意図なのでしょう。

だから、まぁiTunes Store限定でヒッソリと売る程度に留めているのでしょうね。

収録されているのは、59曲中41トラックがBBCでのライヴ音源ですが、残りがスタジオでのデモ・トラックで、その中にはビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスへの提供曲「Bad To Me」、ザ・フォーモストへの提供曲「I’m In Love」なども収録。

本作は「There’s A Place」のテイク5&6から始まり、何だか自身なさ気に歌い出すところがブートレッグ感満載で面白いところですが、この先心配にも感じたりします。

まぁアーティスト的には、中途半端なトラックを公開されるのは不本意でしょうから、ボツ・テイクは繋ぎあわせながら何とか形になっているという印象。

中盤以降はBBCの音源が続き、ここは普通に『Live At The BBC』『On Air – Live At The BBC Volume 2』を聴いているのと差は無い感じです。

ちなみにビートルズのBBCでの演奏は、放送されなかった分も含めて全部で275曲あるので、残りは来年以降に公開されるのかも。

そしてラスト2曲が、ビートルズ名義では未発表の「Bad To Me」「I’m In Love」。

どちらもあまり良い音質ではなく、特に「I’m In Love」の方はジョン・レノンの一発録り弾き語り音源になっています。

「I’ll Be On My Way」の時はちゃんと演奏していたのに、忙しくなってきて手抜きのデモ・テープになったのでしょうかね。

今年はとりあえず1963年の音源が公開されたわけですが、来年以降もパブリック・ドメインの問題はあるので、これからドンドン未公開音源が発表されることに期待したいです。

Beyoncé『Beyoncé』

ビヨンセが12/13に事前の予告なしで、5作目『Beyoncé』をiTunes Storeで世界同時発売しました。

今作はリリース後、iTunes Storeの最高記録となる3日間で80万ダウンロードを達成したことでも話題になり、彼女自身にとって5作続けてのNo.1ヒットも達成。

また本作は、ビジュアルアルバムという形態になっており、オーディオ14曲にビデオ17曲、デジタル・ブックレット付属とデジタル・リリースに最適化された形で配信されているのも面白いところです。

異色なプロモーション戦略で注目度の高い作品となりましたが、ただアルバムの内容はというと、序盤から重い雰囲気が続き、耳に残るようなキャッチーな曲が無いため、イマイチ印象薄い感じでしょうか。

アルバムのリリース後に「XO」、夫のジェイ・Zと共演した「Drunk In Love」のビデオが公開されていますが、今回はあまりシングル・カットは考えていないのかもしれませんね。

まぁ今作は、ビヨンセというトップ・アーティストがリリース形態を大きく変えてきたことで、今後のパッケージ流通を左右するかもしれないという意味で、興味深い作品にはなったことでしょう。

Various Artists『Crossroads Guitar Festival 2013』

エリック・クラプトンが、2004年から行っている麻薬中毒患者を救済するためのチャリティ・コンサート、その第4弾となる『Crossroads Guitar Festival 2013』が映像作品としてリリースされました。

今回は2013/4/12~2013/4/13に渡って、NYのマディソン・スクエア・ガーデンで行われており、Disc1は1日目、Disc2は2日目の演奏から抜粋された形となっています。

本作はまずクラプトンの代表曲のひとつである「Tears In Heaven」から、椅子に座った状態でシットリと落ち着いたスタート。

あまりライヴでは演奏されない曲ですが、ここではスカ風のアレンジで、オリジナルより若干ファンキーな印象を与えていますね。

その後もブッカー・Tロバート・クレイなど大御所のラインナップが並び、しばらくいぶし銀のプレイが続きます。

ただベテラン勢の演奏は、良く言えば安定感のあるプレイですが、悪く言えばサプライズが無くて退屈な印象を受けます。

そんな中、Disc1でキラリと光るのが、ジョン・メイヤーキース・アーバンが共演した「Don’t Let Me Down」で、出演者の中では若手(?)とも言える2人が白熱のギター・バトルを繰り広げてくれるのが目を引くところです。

Disc2に入ると、こちらはオープニングの「Congo Square」で、サニー・ランドレスデレク・トラックス(オールマン・ブラザーズ・バンド)の熱いスライド・プレイ対決から始まります。

他にもヴィンス・ギルアルバート・リーの「I Ain’t Living Long Like This」や、タジ・マハールケヴ・モの「Walkin’ Blues」「Driving Duck Blues」など、面白い共演が多いですね。

そして終盤には、ジェフ・ベックキース・リチャーズ(ザ・ローリング・ストーンズ)、ロビー・ロバートソン(ザ・バンド)など、大物が続きます。

ここはさすがに各自、圧巻のプレイで魅入ってしまいますが、特にキース・リチャーズの登場は事前にアナウンスされていなかったようで、観客の驚きの表情が印象的ですね。

まぁ全体を通すと、2時間48分の中でやや間延びした感じも否めませんが、それも含めてフェスらしく、ダラっと観るぐらいがちょうど良い作品ではないでしょうか。

Eric Clapton『Give Me Strength The ’74/’75 Recordings』

エリック・クラプトンの『461 Ocean Boulevard』『There’s One In Every Crowd(安息の地を求めて)』『E.C. Was Here(エリック・クラプトン・ライヴ)』にボーナス・トラックや未発表曲を加えた、5CD+1ブルーレイのボックス・セット『Give Me Strength The ’74/’75 Recordings』が発売になりました。

この時期のクラプトンといえば、ドラッグやアルコール依存症によって音楽活動が停止しており、3年間の休養の後に発表されたシングル「I Shot The Sheriff」、アルバム『461 Ocean Boulevard』が共に全米1位と、復活を印象づけた時期になります。

本作の内容をザッと解説すると、Disc1は『461 Ocean Boulevard』に、ボーナス・トラック8曲が付属したもの。

ボーナス・トラックのうち、1988年の『Crossroads(アンソロジー)』、1999年の『Blues』、2004年の同作デラックス・エディションなどと被っている楽曲もありますが、「Getting Acquainted」「Getting Acquainted 2 (Too Late)」「Please Be With Me (Acoustic)」「Give Me Strength (Dobro 1)」の4曲が初出。

Disc2は『安息の地を求めて』に、ボーナス・トラック5曲と、シングル「Knockin’ on Heaven’s Door(天国への扉)」のAB面を収録。

こちらは『アンソロジー』と被っている楽曲を除くと、「Burial(埋葬)」「Fools Like Me」が初収録。

Disc3とDisc4が、もともと1枚組で6曲しか収録されていなかった『エリック・クラプトン・ライヴ』を大幅に拡張して、2枚組16曲にしたもの。

ただ大部分は、1983年の『Time Pieces Vol.II ‘Live’ In The Seventies』、1996年の『Crossroads 2 (Live In The Seventies)(アンソロジー2~ライヴ・イン・セヴンティーズ)』で発表済みのトラックで、Disc3の「Crossroads」「I Shot The Sheriff」「Layla(いとしのレイラ)」「Little Wing」のみが初登場となっています。

Disc5が、フレディ・キング『Burglar』へのゲスト参加で、フロリダ州マイアミのクライテリア・スタジオで行われたセッションを収録したもの。

こちらは「Boogie Funk」と「Gambling Woman Blues」フル・レンス・ヴァージョンが初収録となっています。

そしてブルーレイには、『461 Ocean Boulevard』『安息の地を求めて』のサラウンド・ミックスを収録。

ということで、全55曲中12トラックが初登場ということになりますが、これを多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところでしょう。

まぁ正直、『Slowhand』の35周年アニヴァーサリー・エディションを出した後、70年代のもうひとつの代表作『461 Ocean Boulevard』もボックス・セットとしてリリースしたかったが、尺が足りなかったので『安息の地を求めて』『エリック・クラプトン・ライヴ』とコンパチしたという感じでしょうか。

とはいえ、名作『461 Ocean Boulevard』に、レゲエへ傾倒してジャマイカでレコーディングされた『安息の地を求めて』、ステージで延々とギター・ソロを弾き続ける『エリック・クラプトン・ライヴ』と、クラプトンの一番渋い時期の作品群ではあるので、改めて最新のリマスターで聴き直してみるのも面白いのではないでしょうか。

Britney Spears『Britney Jean』

ブリトニー・スピアーズが8作目となる『Britney Jean』をリリースしました。

ブリトニーといえば、一時はドラッグ絡みのスキャンダラスな時期もありましたが、2008年の『Circus』で人気も回復して、女性アーティストとしてはバーブラ・ストライサンドマドンナに続き、マライア・キャリージャネット・ジャクソンと並んで全米No.1アルバムを持つアーティストとなりました。

今作では、プロデューサーにウィリアム・オービットウィル・アイ・アムデヴィッド・ゲッタなど、多数のビッグ・ネームを起用しており、豪華さが目立ちますね。

前作『Femme Fatale』は、かなりEDMを前面に押し出した作品でしたが、今回は少し振り幅を戻してバランスを取った感じでしょうか。

シングル・カットが「Work B**ch」「Perfume」と、違った方向性の曲だったためイメージが湧きにくいところでしたが、アルバムの方もそのままバラエティに富んだ楽曲が並んでいるという印象です。

ポップでメロディックな曲が多いので、安心して聴ける1枚というところではないでしょうか。