The Police『Can’t Stand Losing You: Surviving The Police』

ザ・ポリスのギタリスト、アンディ・サマーズの著書『アンディ・サマーズ自伝 ポリス全調書』を元に、バンドの歴史を追ったドキュメンタリー映画『Can’t Stand Losing You: Surviving The Police』が発売になりました。

2006年には、ドラムのスチュワート・コープランドが撮影した8ミリビデオを編集して、『Everyone Stares: The Police Inside Out』が公開されていますが、今回は2007年の再結成後の作品。

当時のストーリーだけでなく、再結成時の逸話も加えた内容となっています。

『Everyone Stares: The Police Inside Out』では、当時のバンドの快進撃を描いたイケイケの内容でしたが、今作ではあくまでアンディ・サマーズのパーソナルな視点が中心。

不遇なスタジオ・ミュージシャン時代に始まり、ザ・ポリスの成功の裏で妻に離婚を告げられたり、バンドが段々と居心地の悪い場所に変わっていく様を描いたりと、当時の内面的な話も多く語られていますね。

ちなみにザ・ポリスといえば、どちらかといえばボーカルのスティングと、派手なドラミングのスチュワート・コープランドに注目が行きがちですが、再結成時には巧みなギター・ワークで、改めて凄さを再認識させてくれたアンディが多めにピック・アップされているのは興味深いところです。

まぁ今作はメンバーの内面に踏み込んだ作品だけに、ザ・ポリスをある程度知っていることが前提ではありますけどね。

Michael Jackson『Xscape』

マイケル・ジャクソンの未発表音源を元に、ティンバランドロドニー・ジャーキンススターゲイトなど、トップ・プロデューサー陣が最新のアレンジを施したアルバム『Xscape』が発売になりました。

マイケルの未発表音源といえば、2010年にも『MICHAEL』が発売されていますが、こちらは元々リリース予定で進められていた曲を中心に仕上げたもの。

今回は、90年代後半にレコーディングされた楽曲が中心になっており、蔵出し音源の中から厳選したトラックが選ばれた形となっています。

またデラックス・エディションには、アレンジ前のオリジナル・デモ音源も収録されているので、今回は聴き比べる楽しみもありますね。

今作からは、まずジャスティン・ティンバーレイクとのデュエット曲「Love Never Felt So Good」がシングル・カットされており、今作では最古の1983年にレコーディングされたものだけにやや古さも感じますが、何とか現代的なテイストに馴染ませた形ですね。

ちなみにアルバムでは、マイケルのソロ・バージョンが本編扱いで、デュエット・バージョンはデラックス・エディションのボーナス・トラックという形で収録されています。

また米国では、今作リリース後に行われたビルボード・ミュージック・アワードで、ホログラム映像のマイケルが新曲の「Slave To The Rhythm」を歌うというパフォーマンスを行ったことも話題になりました。

他の収録曲についても全体的にエッジが効いた曲が多く、もしマイケルが生きていて新作を出すとしたら、こうなっていたかもしれないと思わせてくれる感じでしょうか。

生前の作品は2001年の『Invincible』が最後ですが、その延長上にあってもおかしくない仕上がりになっているかと思います。

マイケルの未発表曲はまだまだあるようなので、今後のリリースも楽しみですね。

Pharrell Williams『GIRL』

ファレル・ウィリアムスが、ソロ名義としては2006年の『In My Mind』に続く2作目となる『GIRL』をリリースしました。

ファレルといえば、2014年のグラミー賞で最優秀プロデューサー賞を受賞したぐらい、音楽プロデューサーとしてのイメージが強い人物。

ただ、元々はNER*D時代からボーカルを取っており、昨年はダフト・パンク「Get Lucky」、ロビン・シック「Blurred Lines」とボーカリストとしての参加が続いたところで、満を持しての今作というところでしょう。

先行シングルとして発表された「Happy」は各国でNo.1を獲得しており、アルバムの方も米国では『アナと雪の女王』のサウンド・トラックに阻まれたものの2位まで上昇となっています。

前作はほとんどの曲にゲストが参加していましたが、今作では「Brand New」にジャスティン・ティンバーレイクティンバランド、「Come Get It Bae」にマイリー・サイラスとダフト・パンク、「Know Who You Are」にアリシア・キーズと、やや控えめな感じでしょうか。

とはいえ、前作と比べるとゲストに左右されなくなった分、アルバムに統一感が出ており、リラックスして制作されたような印象も受けます。

まぁ今作の完成度としては抜群ですし、明るい曲調が多いので、心地良く聴ける1枚ではないでしょうか。

The Stone Roses『Made Of Stone』

2011年10月18日に15年ぶりの再結成を果たした、ザ・ストーン・ローゼズのドキュメンタリー映画『Made Of Stone』が発売になりました。

ザ・ストーン・ローゼズといえば、90年代のブリット・ポップ系アーティストからリスペクトされ、カリスマ的な人気を誇るバンド。

解散まで2枚しかアルバムを出しておらず、そのうち2nd『Second Coming』は酷評を受けているので、実質はデビュー作『The Stone Roses(石と薔薇)』だけで評価を勝ち取ったグループでもあります。

今作では、再結成コンサートに向けたメンバーの様子や、過去の歴史を振り返るといった内容になっています。

再結成には最盛期のメンバーである、イアン・ブラウンジョン・スクワイア、マニ、レニが揃い、今作の中でも相変わらず独特のグルーヴ感を聴かせてくれています。

ライヴのセット・リストも、80年代の楽曲に限定されているので、まさにファンが聴きたい曲に集中した形ですね。

まぁイアンが新曲を用意していると発言した割には、未だ発表されていないのは残念なところですが。

また、ところどころ過去の映像として、演奏シーンやインタビューなども挟まれますが、こちらは大まかにヒストリーを紹介することがメインになっており、ライヴ映像も途中で切れたりすることが多かったりします。

それとボーナス映像には、プレミア上映時のインタビューや、2012年のフジロック・フェスティバルからの演奏シーンなども収録。

まぁ再結成後のリリースとしては、ドキュメンタリーではありますが今作が唯一の作品ではあるので、とりあえず今作を観ながら新作を待つしかしょうがないですかね。

Metallica『Metallica Through The Never』

メタリカの3D映画『Metallica Through The Never』が、DVD/ブルーレイで発売になりました。

通常版では2Dの映画本編とボーナス・ディスクがセットになっており、Tシャツや缶バッヂなどがセットになったアルティメットエディションでは、ブルーレイ3Dでも楽しめるようになっています。

本編の内容については、ライヴ映像が中心になっていますが、そのコンサートと同時進行で起こるフィクションの物語も途中に挿入されるという形です。

選曲は初期のナンバーが多く、それだけでも熱いライヴを楽しめますが、360度ステージを3D映像で観るとなかなか迫力があるので、3Dテレビがあるなら立体映像で観るのがオススメですね。

また挿入されるストーリーについては、序盤は曲と曲の間のオマケ程度で関係ないものかと思っていましたが、終盤にはお互いがシンクロして、ステージ上に影響を与えるという趣向を凝らした内容になっています。

まぁストーリーの方は、話のオチがよくわからないまま終わってしまうので、あまり期待し過ぎない方が良いかもしれませんが…

それとボーナス・ディスクはメイキングやインタビューなどが収録され、92分の本編に対し193分の特典映像と、かなり盛り沢山の内容になっています。

本作の内容としては、ファンならずともその出来栄えに驚かされるところでしょうが、残念なのがブルーレイ3D版を観るためにボックス・セットを買わされるところでしょうね。

別にTシャツとかは要らないという人は、少なくないと思うのですが…

Bob Dylan『The 30th Anniversary Concert Celebration』

ボブ・ディランのデビュー30周年を記念して、1992年10月16日にマディソン・スクエア・ガーデンで行われたコンサート映像『The 30th Anniversary Concert Celebration(ボブ・ディラン30周年記念コンサート)』がDVD/ブルーレイ化されました。

当時このライヴは全米で生中継され、1993年にはVHS/LD化されていましたが、長らく廃盤になっていたので嬉しい再発となります。

ステージにディラン自身が登場するのは終盤になってからで、大部分はゲストがディランの曲をカバーするという流れになっています。

まずステージに登場したのはジョン・メレンキャンプで、ディランの代表作『Highway 61 Revisited(追憶のハイウェイ61)』に収録されていた「Like A Rolling Stone」で幕を開けます。

バックにはオリジナルでハモンド・オルガンを弾いていたアル・クーパーも加わり、かなり存在感のあるプレイをしているのですが、ぜんぜんカメラが向けられないという扱いがちょっと残念。

スティーヴィー・ワンダーは「Blowin’ In The Wind(風に吹かれて)」を、自身の1966年の作品『Up-Tight』バージョンで披露。

演奏前には、この曲を歌い続けなければいけない現状を嘆いた、感動的なスピーチを行っています。

それと、この公演で最も衝撃を与えたのがシニード・オコナー

元々「I Believe In You」を歌う予定でしたが、事前に出演したサタデー・ナイト・ライヴでローマ法王の写真を破り捨てたことで、観客から大ブーイングを受けて、急遽アカペラでボブ・マーリーの「War」を歌っています。

SNLでのパフォーマンスは、カトリック教会の幼児虐待に対しての抗議だったわけですが、実際にこの問題が明るみに出たのはこの10年後ぐらいで、当時は誰も彼女に耳を傾ける人がいなかったという悲しい一幕ではありますね。

エリック・クラプトンは、「Love Minus Zero/No Limit」「Don’t Think Twice, It’s All Right(くよくよするなよ)」と2曲を演奏。

この日のクラプトンのギターはキレキレで、まさに火を吹くようなギター・ソロを繰り出しているので、ここも聴きどころです。

そして、トラヴェリング・ウィルベリーズ仲間であるジョージ・ハリスンが「Absolutely Sweet Marie」を、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが「License To Kill」「Rainy Day Women ♯12 & 35(雨の日の女)」をそれぞれ演奏。

ジョージはこの日、自身も『All Things Must Pass』の中でカバーした「If Not For You」を演奏してTV放送もされていたのですが、今作に未収録なのが残念なところです。

そして、いよいよディランがステージに登場して1人で「It’s Alright, Ma (I’m Only Bleeding)」を歌っていますが、こちらも当時の生中継では最初に演奏されていた「Song to Woody(ウディに捧げる歌)」がカットされていますね。

その後はバンドと一緒に「My Back Pages」「Knockin’ On Heaven’s Door(天国への扉)」を演奏して、放送後に演奏されたアンコールの「Girl From The North Country(北国の少女)」で締めくくられています。

ちなみに今作のCD版にはボーナス・トラックとして、リハーサル演奏からエリック・クラプトン「くよくよするなよ」と、シニード・オコナー「I Believe In You」が収録されていますが、DVD版/ブルーレイ版ではビハインド・ザ・シーンの中で「くよくよするなよ」は一瞬だけ、「I Believe In You」はフルに近い形で観ることもできます。

今作を観ると、メンバーの並びからしてザ・バンドの『The Last Waltz』を連想する人も少なくないと思いますが、こちらも良い勝負できるぐらいのステージになっているので、ぜひオススメしたい1品ですね。

Nathan East『Nathan East』

フォープレイのベーシストとしてだけでなく、多くのアーティストの作品に参加しているネイザン・イーストが初のソロ・アルバム『Nathan East』をリリースしました。

70年代から活動していて、フォープレイではボーカルも取っている割には、初めてのソロ作というところが意外でもありますね。

おそらく今作に興味を持った方は、フォープレイつながりか、エリック・クラプトンのバックでベースを弾いているところから来たのではないでしょうか。

ただ彼のホーム・フィールドはジャズ/フュージョンになるので、クラプトン的なスタイルを想定しているならば、少し期待を外されるかもしれないですね。

今作の印象としては、フォープレイでの音楽スタイルに近い感じで、ポップ・ミュージックをジャズ・アレンジでまとめたソフトな耳触りの作品になっています。

多くのゲストも参加していて、エリック・クラプトンや、スティービー・ワンダーマイケル・マクドナルド、デヴィッド・ペイチ(TOTO)など、参加楽曲ではそれぞれの持ち味が存分に出ているので楽しめるのではないでしょうか。

ただ全体を聴いた後の感想としては、非常に聴きやすくまとめられたアルバムではあるのですが、もう少し彼自身が前に出るような部分があっても良かったかなと。

ボーナス・トラックとして収録されている、ウェス・モンゴメリーのカバー「Four On Six」などは、彼のアグレッシブなプレイが聴けて面白いのですけどねぇ。

Beck『Morning Phase』

ベックが6年ぶりとなるアルバム、『Morning Phase』を発売しました。

途中シングル・リリースはありましたが、前作『Modern Guilt』のレコーディング時期に脊髄を痛めたことで、今作までの長いブランクが空いたようです。

今作では、カントリーの聖地ナッシュビルでレコーディングが行われていたり、『Sea Change』録音時のメンバーが参加していたりと、彼のアコースティック・サイドがプッシュされた作品となっています。

シングル・カットとなった「Blue Moon」「Waking Light」や、発売直前に公開された「Wave」あたりを聴くとわかりますが、カントリーというよりはスピリチュアルな楽曲が中心になっており、全体的にユッタリとした雰囲気に包まれています。

ヒップ・ホップやオルタナティブ系を期待していた人はガッカリするかもしれませんが、聴いてみると完成度が高いので、別の良さを知ることができる、そんな一枚になっているのではないでしょうか。

ちなみに本人は『Sea Change』の続編扱いされるのは好んでいないようですが、まぁジャケットからして近いものがありますしねぇ。

第56回グラミー賞発表

米ロサンゼルスで第56回グラミー賞の授賞式が行われました。

主要部門では、ダフト・パンクが最優秀レコード、最優秀アルバムを含めた5部門で最多獲得。

最優秀楽曲は計2部門を獲得したロード、最優秀新人賞は計4部門獲得のマックルモア&ライアン・ルイスがそれぞれ受賞しています。

主要部門以外では、最優秀メタル・パフォーマンスにブラック・サバス「God Is Dead?」、最優秀ロック・アルバムにレッド・ツェッペリンCelebration Day(祭典の日(奇跡のライヴ))』、最優秀ロック・ソングにニルヴァーナのメンバーとポール・マッカートニーが共作した「Cut Me Some Slack」、またポール・マッカートニーは『Live Kisses(ライヴ・キス 2012)』で最優秀ミュージック・フィルムも獲得しており、ベテラン勢の活躍も目立っていました。

それとグラミーといえばライヴ・パフォーマンスも見どころで、一番の注目だったのはポール・マッカートニーとリンゴ・スターの共演。

リンゴがソロで「Photograph(思い出のフォトグラフ)」を披露した後、ポールの新曲「Queenie Eye」のバックでリンゴがドラムを叩くという、こちらはやや中途半端なコラボで終わりました。

他にも、ダフト・パンクのステージにはスティーヴィー・ワンダーナイル・ロジャースファレル・ウィリアムスも加わって「Get Lucky」から「Le Freak」「Another Star」のメドレー。

マックルモアとメアリー・ランバート「Same Love」の途中には結婚式イベントが開かれ、それに続いてマドンナが「Open Your Heart」を披露。

ロビン・シックシカゴは「Does Anybody Really Know What Time It Is?(いったい現実を把握している者はいるだろか?)」「Beginnings」「Saturday In The Park」「Blurred Lines」をメドレーで演奏しています。

今年のグラミーは、やはりダフト・パンクの強さが目立った印象ですかね。

The Beatles『The Beatles Bootleg Recordings 1963』

ザ・ビートルズが1963年に発表した音源のアウトテイク集、『The Beatles Bootleg Recordings 1963』がiTunes Storeで発売になりました。

2013年1月1日に、EU圏でビートルズのデビュー・シングル「Love Me Do/P.S. I Love You」がパブリック・ドメインになったことが話題になりましたが、今回のリリースもそれに関連したもの。

EUでは今年、著作隣接権を70年に延長したので、とりあえず『Please Please Me』や『With The Beatles』の音源がパブリック・ドメイン化するのは20年後まで引き伸ばされました。

ただ、それとは別に録音された音源を50年以内に発売しない場合はパブリック・ドメイン化してしまうので、とりあえず手持ちの未発売音源を急いでリリースしておこうという意図なのでしょう。

だから、まぁiTunes Store限定でヒッソリと売る程度に留めているのでしょうね。

収録されているのは、59曲中41トラックがBBCでのライヴ音源ですが、残りがスタジオでのデモ・トラックで、その中にはビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスへの提供曲「Bad To Me」、ザ・フォーモストへの提供曲「I’m In Love」なども収録。

本作は「There’s A Place」のテイク5&6から始まり、何だか自身なさ気に歌い出すところがブートレッグ感満載で面白いところですが、この先心配にも感じたりします。

まぁアーティスト的には、中途半端なトラックを公開されるのは不本意でしょうから、ボツ・テイクは繋ぎあわせながら何とか形になっているという印象。

中盤以降はBBCの音源が続き、ここは普通に『Live At The BBC』『On Air – Live At The BBC Volume 2』を聴いているのと差は無い感じです。

ちなみにビートルズのBBCでの演奏は、放送されなかった分も含めて全部で275曲あるので、残りは来年以降に公開されるのかも。

そしてラスト2曲が、ビートルズ名義では未発表の「Bad To Me」「I’m In Love」。

どちらもあまり良い音質ではなく、特に「I’m In Love」の方はジョン・レノンの一発録り弾き語り音源になっています。

「I’ll Be On My Way」の時はちゃんと演奏していたのに、忙しくなってきて手抜きのデモ・テープになったのでしょうかね。

今年はとりあえず1963年の音源が公開されたわけですが、来年以降もパブリック・ドメインの問題はあるので、これからドンドン未公開音源が発表されることに期待したいです。