Bob Dylan『The 30th Anniversary Concert Celebration』

ボブ・ディランのデビュー30周年を記念して、1992年10月16日にマディソン・スクエア・ガーデンで行われたコンサート映像『The 30th Anniversary Concert Celebration(ボブ・ディラン30周年記念コンサート)』がDVD/ブルーレイ化されました。

当時このライヴは全米で生中継され、1993年にはVHS/LD化されていましたが、長らく廃盤になっていたので嬉しい再発となります。

ステージにディラン自身が登場するのは終盤になってからで、大部分はゲストがディランの曲をカバーするという流れになっています。

まずステージに登場したのはジョン・メレンキャンプで、ディランの代表作『Highway 61 Revisited(追憶のハイウェイ61)』に収録されていた「Like A Rolling Stone」で幕を開けます。

バックにはオリジナルでハモンド・オルガンを弾いていたアル・クーパーも加わり、かなり存在感のあるプレイをしているのですが、ぜんぜんカメラが向けられないという扱いがちょっと残念。

スティーヴィー・ワンダーは「Blowin’ In The Wind(風に吹かれて)」を、自身の1966年の作品『Up-Tight』バージョンで披露。

演奏前には、この曲を歌い続けなければいけない現状を嘆いた、感動的なスピーチを行っています。

それと、この公演で最も衝撃を与えたのがシニード・オコナー

元々「I Believe In You」を歌う予定でしたが、事前に出演したサタデー・ナイト・ライヴでローマ法王の写真を破り捨てたことで、観客から大ブーイングを受けて、急遽アカペラでボブ・マーリーの「War」を歌っています。

SNLでのパフォーマンスは、カトリック教会の幼児虐待に対しての抗議だったわけですが、実際にこの問題が明るみに出たのはこの10年後ぐらいで、当時は誰も彼女に耳を傾ける人がいなかったという悲しい一幕ではありますね。

エリック・クラプトンは、「Love Minus Zero/No Limit」「Don’t Think Twice, It’s All Right(くよくよするなよ)」と2曲を演奏。

この日のクラプトンのギターはキレキレで、まさに火を吹くようなギター・ソロを繰り出しているので、ここも聴きどころです。

そして、トラヴェリング・ウィルベリーズ仲間であるジョージ・ハリスンが「Absolutely Sweet Marie」を、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが「License To Kill」「Rainy Day Women ♯12 & 35(雨の日の女)」をそれぞれ演奏。

ジョージはこの日、自身も『All Things Must Pass』の中でカバーした「If Not For You」を演奏してTV放送もされていたのですが、今作に未収録なのが残念なところです。

そして、いよいよディランがステージに登場して1人で「It’s Alright, Ma (I’m Only Bleeding)」を歌っていますが、こちらも当時の生中継では最初に演奏されていた「Song to Woody(ウディに捧げる歌)」がカットされていますね。

その後はバンドと一緒に「My Back Pages」「Knockin’ On Heaven’s Door(天国への扉)」を演奏して、放送後に演奏されたアンコールの「Girl From The North Country(北国の少女)」で締めくくられています。

ちなみに今作のCD版にはボーナス・トラックとして、リハーサル演奏からエリック・クラプトン「くよくよするなよ」と、シニード・オコナー「I Believe In You」が収録されていますが、DVD版/ブルーレイ版ではビハインド・ザ・シーンの中で「くよくよするなよ」は一瞬だけ、「I Believe In You」はフルに近い形で観ることもできます。

今作を観ると、メンバーの並びからしてザ・バンドの『The Last Waltz』を連想する人も少なくないと思いますが、こちらも良い勝負できるぐらいのステージになっているので、ぜひオススメしたい1品ですね。

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