Jimi Hendrix『West Coast Seattle Boy: The Jimi Hendrix Anthology』

ジミ・ヘンドリックスのスタジオ・ミュージシャン時代の音源や、未発表のトラックを4枚組CDに収録し、さらにボブ・スミートンが監督を勤めた映像作品『ヴードゥー・チャイルド』のDVDを付属した『West Coast Seattle Boy: The Jimi Hendrix Anthology』が発売になりました。

ジミヘンの未発表音源といえば、『Valleys Of Neptune』『First Rays of the New Rising Sun』『The Jimi Hendrix Experience』などを筆頭に、相当な数が発売になっていますが、ここにきてボックス・セット級の作品が出てきたのは驚きですね。

DISC1は、他のアーティストのバック・バンドとしてギターを弾く音源になっていますが、DISC2~4で既出なのは「The Wind Cries Mary(風の中のメアリー)」が『Stages』に収録されていたのみ。

収録されているトラックは時代順に並んでいるので、デビュー前の1964年から、ジミが亡くなる1970年までの軌跡を辿ってみるのも、ファンなら興味深いところでしょう。

ジミヘンといえば、自由奔放なギターを弾くイメージが強いかもしれませんが、他のアーティスト名義の作品が集められたDISC1では、淡々とサポートに務める音源が並びます。

割とギターの音も大きめなので、ギター・ワークに注目するとジミらしさも感じられますが、まぁつまらなそうに仕事をこなしているといった印象でしょうか。

DISC2では、『Are You Experienced』『Axis: Bold As Love』『Electric Ladyland』からのアウトテイクを中心に、未発表曲も数曲収録。

特に注目なのは、トラフィックのデイヴ・メイスンがシタールで参加している「Little One」や、ボブ・ディランのカバー「Tears Of Rage」あたりでしょうか。

ジミがディランの曲を取り上げることは多かったのですが、ここでは自宅でテープレコーダーを前に、下積み時代の仲間ポール・カルーソと楽しそうに弾き語っているのが印象的です。

DISC3は、正式発表されなかった曲が多くを占めているだけに、スタジオ内でのジャム・セッションといった色がやや強いところ。

「Young/Hedrix」での、ジャズ・オルガニストのラリー・ヤングと、20分を超えるセッションはなかなか聴き応えがあります。

またライヴ音源も数曲含まれており、ウッドストック・フェスティバルの4ヶ月前の「Star Spangled Banner(星条旗)」「Purple Haze(紫のけむり)」のメドレーや、DISC4にかけて『Band of Gypsys』と同コンサートで行われた「Fire」「Foxy Lady」「Stone Free」などが収録されています。

そしてDISC4は、ジミがエレクトリック・レディ・スタジオで、ニュー・アルバムのレコーディングに乗り出した頃の音源が中心に。

この作品は結局、完成には至らなかったわけですが、その過程でジミが意欲的に取り組んでいる様子がテープから伝わってくる感じです。

ジミの死後に、ラヴの『False Start』で発表された「The Everlasting First」では、オリジナル・バージョンより1分ほど長い、フル・ヴァージョンが収録されています。

映像作品『ヴードゥー・チャイルド』は、ジミの生涯を綴ったヒストリーで、レアな映像やインタビュー・シーン、父親に宛てた手紙などが紹介されているので、ジミの人物像をより深く知ることのできる内容になっています。

今作はアウトテイク集だけに、オリジナルを知っていてこそというところはありますが、ジミヘン・ファンならチェックしておきたい1品ですね。

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