Bob Dylan『The Witmark Demos: 1962-1964 The Bootleg Series Vol.9』

1988年の『Bob Dylan Live 1966 The “Royal Albert Hall” Concert』以降、コンスタントにリリースされるようになったボブ・ディランのブートレッグ・シリーズですが、その第9弾となるのが今作『The Witmark Demos: 1962-1964』。

今作ではタイトル通り、1962年から1964年にかけて、本レコーディング前に音楽出版社に聴かせるために録音されたデモ音源を集めた作品となっています。

時期的にはディランがまだフォーク・スタイルを主としていた時代なので、音源はほぼギター1本の弾き語り形式で演奏されている形です。

収録曲は録音順に並んでおり、一番古いのはリーズ・ミュージック用に録音されたディスク1の最初の8曲で、デビュー・アルバム『Bob Dylan』の発売前となる1962年1月の音源。

2枚目のアルバム『The Freewheelin’ Bob Dylan』に向けて試行錯誤していた時期ですが、1stアルバムが不発に終わったことで、この後の音源は契約を移管するM・ウィットマーク&サンズ用に録音されたものということになります。

面白いのは、リーズ・ミュージックが契約を手放した時期には、後にディランの代表曲となる「Blowin’ In The Wind(風に吹かれて)」がすでに録音されていたことでしょう。

ここで聴けるデモ音源では、曲中に咳払いなども入り、ややリラックスした感じの演奏ではありますが、その魅力が十分に醸し出されています。

他にも、その半年後に録音された「A Hard Rain’s A-Gonna Fall(はげしい雨が降る)」あたりも聴きどころでしょうか。

ディランの弾くギターがオリジナルよりも浮遊感があり、聴いていて思わず引きこまれていく感じです。

そして、ディスク2の10曲目以降ぐらいからは、『The Times They Are A-Changin'(時代は変る)』用に収録されたデモになってきます。

シングル・カットされたタイトル曲が、ここではスローなピアノ演奏をバックに歌われているのがちょっと新鮮ですね。

ディスク2のラスト3曲は1964年6月の音源で、時期的には『Another Side Of Bob Dylan』の頃ですが、結局このアルバムには採用されず、「Mr. Tambourine Man」が次の『Bringing It All Back Home』に収録される形になっています。

この名曲もここではピアノをバックに演奏されており、ちょっとレゲエチックな雰囲気がなかなか興味深いです。

今作は、まぁ基本的にはデモ音源なので、オリジナルを聴き込んだファン向けという作品でしょう。

今作と『The Original Mono Recordings』をセットで購入すると、『In Concert Brandeis University 1963』が貰えるそうなので、興味がある人はそちらもチェックしてみると良いのではないでしょうか。

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